Love Letter
監督/岩井俊二
主演/中山美穂

フィアンセの三回忌の日、かつての婚約者の自宅で卒業アルバムを見ていた博子は、フィアンセ藤井 樹の小樽時代の住所を見つけた。
戯れに、今は国道の下になってしまったというその住所に樹宛の手紙を書く博子、届くはずのないその手紙に、返事が来た。しかも差出人は藤井 樹。小樽にいるのは誰なのか。

ネタをバラしてしまえば、中学時代に同姓同名の同級生、しかも女子がいて、博子が見た住所は、その女子のほうの樹の住所だったという話。だが、これがオチになっているわけではないので、バラしてもかまわないだろう。
博子と女子の樹は、文通を始め、その事情を知り、博子は小樽まで出向く。物語は中学時代の樹と樹の話と、現在が交錯しながら展開する。
問題は、同姓同名の樹が存在したことではなく、その(女)樹の顔である。作品では、中山美穂の一人二役で、特殊メイクもなく、どちらも同じ顔。
演出としてはありがちで、「中山美穂を見たい」というファンサービスのなのかと思っていたが、しかし、物語にとってこれは重要なことである。すでに死んでしまったフィアンセ樹は、いわば初恋の人である(女)樹と同じ顔をした女(博子)と結婚するつもりだった。その事実を博子には告げずに。博子のほうは心中穏やかではない。死んで2年もたったフィアンセが、自分を見初めた理由は「顔」だったのか?。

フィアンセを亡くした博子を支えているのは、陶芸をしている秋葉という男ですが、これを演じるのが、かの豊悦、豊川悦司です。この人も人気あるんだか、ないんだか分かりにくいなぁ。万人ウケするタイプじゃないけど。フジテレビがお金を出してることもあって、キャストはけっこう豪華です。(篠原クマさんいい味出してます。影の主役かも)

岩井俊二監督は、最新作スワローテイルが話題になってますね。スワローテイルは(僕の知っている範囲では)評価が割れてます。このLove Letterは、監督の劇場公開用初作品ということですが、充分堪能できます。(Hi-Viのレビューだと、「映画としてのボーダーライン上を漂いながら、辛うじて映画のレベルを保ってる」みたいな言われかたをしてましたが、あまりに辛くないですかねぇ。テレビ出身の監督はみんなこういわれるのかなぁ。)
さて、この岩井俊二監督が豊悦主役で撮ったもう一つの作品があります。

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